1. 2月14日の静かな衝撃
世の中がバレンタインデーに浮き立つ2月14日。 私は泌尿器科の待合室にいました。 白血病の治療(骨髄移植や抗がん剤)を経て、いつかは向き合わなければならないと思っていた「精子検査」を受けるためです。
2. 医師の言葉と、止まった思考
検査の結果、医師から告げられたのは、予想していたよりもずっと重い言葉でした。
「自然妊娠はほぼ不可能です」
「不妊治療を考えているなら、大きい病院へ行くための紹介状を書きます。そこで詳しい検査を受けてください」
薬剤師として、治療の副作用については知識として知っていました。不妊のリスクがあることも理解していたはずでした。でも、いざ目の前で「不可能」という言葉を突きつけられると、頭の中が真っ白になる。知識は、心のクッションにはなってくれませんでした。
3. 薬剤師と当事者の間で
医療の世界に身を置く人間として、その存在はもちろん知っています。 けれど、それはあくまで「病院から病院へ送られるもの」であり、私自身がその中身を手に取り、自分事として扱う機会はほとんどありませんでした。
今、自分の手の中にある一枚。 それは、これまで見てきたどの書類よりも重く、冷たく感じられました。 「自然妊娠はほぼ不可能」という宣告が、その紙の中に封じ込められている。
薬剤師としての知識があるからこそ、その「紹介状」が持つ意味の重さは理解できてしまう。 でも、一人の人間としては、その現実をどう受け止めていいか分からない。
医療従事者として冷静に次のステップを考えようとする自分と、ただ立ち尽くす自分。
その二人が、自分の中で激しく葛藤していました。
4. これからについて
大きな病院への紹介状。 そこから先、どんな検査が待っていて、どんな選択肢があるのか。 正直、不安しかありません。
でも、この「ありのままの動揺」や「これからのプロセス」を記録していくことが、いつか同じように診断結果に立ちすくむ誰かの力になると信じて、少しずつ綴っていこうと思います。

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